「カケル」
「カケル」
「ナニカガタリナイ…」
ぼんやりと空を眺めていた
羽ばたく鳥を見ても、ゆっくりと動く雲を見ても
いつも空っぽだった、そんな2020年
テレビから響くアナウンサーの声
「今日も日本国内では新型コロナウイルス感染者が200人を超えました…」
「東京都内では100人を超えました…」
「死者は〇〇人を超えたとのことです…」
「東京都は来月から外出自粛を都民に…」
テレビを見ながら大きくため息をつく
そしてぶつぶつ何かを言う。 嫌気に襲われるそんな日常
原因はたった3文字の「コロナ」
その言葉を聞くだけで憎悪を感じ、深く絶望する
最後の大学生活のほとんどを奪われた
私のやる気は「コロナ」に吸収されていく
「ナニカガタリナイ」
いつからだろう、こんなに脱力しているのは
いつからだろう、こんなに弱くなったのは
いつもナニカガタリナイ
そのナニカもわからない
わからないという怖さ、どうしようもない不安が今日も私を襲う
どうして?
最後の学生生活、最後のチマチョゴリ、最後の友達との時間…
なぜ奪われてしまうの?
我々が何か罪を犯したのか?
これは何かの罰なのか?
何もわからない
この積もっていく嫌気、憎しみ、悔しさ、悲しさ
どこにぶつけたらいいというのか
親か?兄弟か?友達か?見知らぬ人か?
あるいは動物?そこら辺に生えている植物に?
どこに発すればいいのか、それもわからない
私は空っぽだった
世界はこんなにも荒れているのに、それとは裏腹に
何ひとつ変わらない空、その空を見ながら
「ナニカガタリナイ…」とつぶやく
そんな時どこからか聞こえてくる
「何かが足りない」という声
その声のする方を向き、激しく同意する
「私も…」と
(高貞任 / 外国語学部日本語学科4年)
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