「雑草ちゃん 2021」

「雑草ちゃん 2021」


「正直ね、君の国の政治体制、どーにも好きになれないんだよね。」

バイト中、お客さんに言われた。

は?それ、なーに言う?

いや、我慢我慢。

お客様は神様らしいし。

「あちらの国は何回お金払ったら気が済むの?」

店長に言われた。

待って、誰のせいやねん。

いや、我慢我慢。

クビは勘弁。

「アメリカ様に比べたらどっちの国もほんとしょうもないよ。」

日韓(朝)ハーフの、アイデンティティ絶賛彷徨い中のバイト生に言われた。

それ、てめーの問題だよ。

いやだから、我慢我慢。

っていつまで我慢してる?

強く主張できないまま。

主導権を握られたまま。

取り繕って、無理矢理笑って。

悔しい。悔しい。

マスクの下で唇の皮をむいて食べた。


その日、寒い寒い公園でヤケ酒して、みっともなく吐きました。

こっぴどく貶されても、無神経に踏みにじられても、

肝臓が悲鳴を上げても、唇から血が出ても、

私はやっぱり朝鮮人です。

絶対に朝鮮人です。


(孫花純 / 外国語学部日本語学科3年)

이로하(いろは)文集-朝鮮大学校外国語学部日本語学科-

「이로하(いろは)文集」は、朝鮮大学校外国語学部日本語学科が主宰する、朝鮮大学生による日本語創作文集です。今学年度よりブログ形式で発表することになりました。コロナ禍に見舞われた2020年度のお題は「かける」。それぞれの、さまざまな「かける」について、思いを綴ってみました。

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