「布団」「走る」
「布団」
まだ吐く息に白さが残る季節。私の一日は白白明けに目を覚ますことから始まる。まだ世界が寝静まっている時間から活動を開始するのだ。朝早いので辛い時もあるが、私は外の音が聞こえないこの静かな時間が大好きだ。朝ごはんを食べて暗い部屋に挨拶をしてから、日が登り始めた頃私は家を出る。
電車に揺られること三十分、六時五十二分に十条駅に到着する。私と同じく朝練に参加する子達が同じ電車から降りてくる。大体いつもと同じ顔ぶれだ。そしてみんな同じ目的地に向かっていく。七時に校門が開くと吸い込まれるようにそれぞれの目的地に向かって歩いていく。
一時間の朝練が終わるとみんなと同じ服に着替えて授業を受ける。午前の授業が終わるといつもの友人たちと昼食をとる。お昼休みが終わるとまた午後の授業を受ける。それが終わるとまた部活が始まる。
午後の部活は大会に向けての練習や、発表会で披露する作品を中心に練習することもあるが、この時期の練習は大体基礎練習だ。二時間の部活が終わると夜の七時みんな朝通った道をまた通りながら帰路につく。そこからそれぞれの方向に帰っていく。
私の帰り道にはあるルーティーンが存在する。それは三日に一回本屋か無印良品、百円ショップに寄ることだ。三日に一回のペースで行くと次に同じ店に行くのは約十日間後になり、新商品が追加されていることが多いのだ。気に入ったのが見つかるとそれを購入して家に帰る。
家に帰ると晩御飯を食べて課題に取り掛かる。課題が終わるとお風呂に入り、日付が変わる頃に寝る準備を始める。落ち着いたら日記にその日にあった出来事を思い出し書き写す。そしていつもと変わらない日々が、明日は何か変わらないかと期待しながら、私は布団をかけて一日を終える。そうして同じ布団からまた新しい一日が始まる。
「走る」
私は走る
赤く染まった土手を横目に
ただ無我夢中に走る
前にある小さな背中たちに向かって
私は走る
桜色に染まった道を
新しい服と共にひたすら走る
新たなステージに向かって
私は走る
代わり映えのない道を
少しの期待を胸に走る
わずかな不安を見ぬふりして
私は走る
灰色のコンクリートをパソコン片手に
焦りと不安を抱えながら
それらを拭うように走る
私は走る
高いビル群の間を
世界の理不尽と戦いながら
ただひたすら走る
私は走る
まだ見ぬ未来に向かって
ただひたすらに
かけていく
(孫景雅 / 外国語学部日本語学科3年)
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