寄稿・詩四編(政経学部から)

「バトンリレー」   

政治経済学部4年 李玲於


息は絶え絶え

身体はボロボロ

ゴールなんてものは見えない

本当にゴールがあるのかさえ分からない

ここであきらめるのは簡単だ

あきらめてしまえば楽になる

でもあきらめない

どこまでも走り続ける

第三走者の思いを背負って

第五走者へ繋ぐため

これから未来へ繋ぐため 


「月」  

政治経済学部4年 李琇禎


1か月に一度だけ、楽しみな夜が来る

世界中の皆が私の姿に釘付けなの

丸く、美しく、光を放つ私の姿に。

嬉しいはずなのに、なぜこんなにも不安なのかしら

今夜が終わってしまえば、明日にはもう欠けてしまう

この運命を隠さんとばかりに必死に笑いかける

私はずっとここにいるのに…

私はずっと変わりないのに…


「描きたいもの」  

政治経済学部4年 李瑛基


「キャンパスに自分の好きなものを描きなさい」

誰かがいう

まっしろなキャンパス

なにがかけるか考える

ものすごく考える

だけどそこで気づく

手には赤いクレヨンがある

でも赤いクレヨンしかない

他のクレヨンはどこだ

ない

どこにも見つからない

これでは赤しかかけない

しかたなく赤い絵をかく

出来上がった真っ赤なキャンパスをみてその誰かは素晴らしいと言う

僕はもっといろんな色を描きたい

でもかけない

赤もいいが黄色もいい、紫もいいし緑もいいし青もいい

そんな世界がきて欲しい

セットンの世界を目指して 



「二つの太陽」   

政治経済学部2年 林漱明


太陽よ

いま地上では、お前を名乗る無法者が人の世を侵し続けているんだ

心と心を切り離し、明日の希望を不信感で塗り潰しているんだ

お前もそうなのかい?

お前のその灼熱は、美しい湖を枯らし、この星の温暖化を招き、時には人の命すら奪う

けれども私は

そんなお前を嫌いたくない

時にお前は美しく輝き、時にお前は大地の自然の恵みとなり、時にお前は雨雲をかき分けて我々を優しく照らしてくれるのだから

いま地上を貪っているこの無法者も、もしかするとそうなのかも知れないな

これまで鬼の形相ばかりを見せてきたこいつも、また違った表情をいつかは見せてくれるのかも知れない

お前を嫌いたくないように、こいつも嫌うにはまだ早いと、私は思っていたいのだ

太陽よ

今日は大地を焼き尽くすなら、明日は暖かく微笑んでおくれ

私は明日も、生きていようと思う




이로하(いろは)文集-朝鮮大学校外国語学部日本語学科-

「이로하(いろは)文集」は、朝鮮大学校外国語学部日本語学科が主宰する、朝鮮大学生による日本語創作文集です。今学年度よりブログ形式で発表することになりました。コロナ禍に見舞われた2020年度のお題は「かける」。それぞれの、さまざまな「かける」について、思いを綴ってみました。

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